社宅を自社管理するときの業務フロー
社宅を自社で管理する際は、さまざまな業務を行なわなければいけなくなります。
しかしそれらの業務は簡単なものではないため、「他の業務で手一杯なのに……」と頭を抱える人も多いのです。
今回は、社宅を自社管理する際の業務フローを詳しく解説します。自社管理を考えている方は参考にしてみてください。
社宅を自社管理する場合の主な業務フロー7つ
1.物件を見つける
社宅の自社管理においてまず行わなければならないのが、社宅として利用をする物件を見つけるということです。
この場合、社内においてどのような物件を選ぶのかおおよその検討をつけた後、不動産会社などを通じて物件を土地ごと買い取って社有社宅とするか、もしくは他のオーナーから物件の借り受けを行います。
2.入居までの手続き
もしその社宅に入居を希望する社員がいた場合、入居までの諸々の手続きも管理業務の中に含まれます。
一般的には社員からの入居申請に対し会社の側で承認を行い、それが完了してから賃貸契約手続きを開始するという流れとなります。
社内での決定が完了した後貸主との賃貸契約の締結となるのですが、近年では紹介会社に仲介をしてもらうことが一般的となっています。また社有社宅の場合にはこの業務は必要ありません。
賃貸契約の締結に際しては火災保険などの保険に加入するのも一般的です。ただしこれに関しては賃貸契約の内容や社内の規定などによって異なり、行われない場合もあります。
この際に取り交わされた契約書やその他重要事項説明書などの書類に関しては、確認の上保管を行わなければなりません。
敷金や礼金、仲介料や初回の家賃などの初回支払額の通知も忘れずに行わなければなりませんし、さらに契約時の初期費用などに関しても、それらがきちんと振込されているかを確認する必要があり、借り上げ社宅の場合はさらにそれを貸主に対して振込をしなければならず、そのためのデータ作成などの業務も発生します。
こうした手続きを経ることによって入居までの手続きが完了し、実際に引越しに至れるようになります。
引越しに際しては社員が個人で行う場合もありますが、入居希望社員が複数いる場合は業務に支障をきたすことを避けるため、会社として業者の選定やスケジュール調整などを行う場合もあります。
3.家賃の支払い管理
毎月の家賃の支払いに関してもその支払額に間違いがないかなどを精査し、それを管理するといった業務が発生します。
もし間違いが合った場合には適宜修正を行います。
流れとしては、振込用のデータを作成し、そのデータを入居している各社員に渡して処理をします。
近年では支払い方法は給与控除であることが一般的となっておりますが、その場合にもその控除が行われる旨を社員に伝え、給与処理担当者(部署)にもその処理を依頼します。
4.支払調書の提出
家賃などの支払いに関しては、その年度ごとに支払調書を作成し、それを各社員および税務署へ提出しなければなりません。
その調書には不動産使用料および不動産売買や貸し付けなどの斡旋手数料などが記載されます。
5.契約の更新手続き
社宅の契約更新時期が近づいてきた場合には、入居者である社員に対し契約内容の変更点がある場合にはその旨を伝え、更新意志の有無を確認します。
もし更新の意志がある場合にはその手続きを行いますが、借り上げ社宅の場合には管理会社などに仲介をしてもらうということが一般的です。
契約更新に際しては更新料の支払いを行うことが一般的ですが、この場合も振込用のデータを作成しそれを社員に渡した上で振込をしてもらいます。
各種保険などに関しても、これと同様に手続きを行ってください。
またこうした契約内容の変更を行う場合には、その変更された内容を会社内で記録し共有しておく必要があります。
6.物件からの退去
契約更新時期に社員から退去の意思が示された場合は、社内でその退去申請を受け付けた後、貸主および管理会社に対して解約をするという旨を伝え、解約の遅くとも一ヶ月前までには契約書を交わして意志の確定を行います。
ただし社有社宅の場合にはこうした手続きを省略することが可能となる場合もあります。
実際の退去にあたっては退去立会い日を取り決めた上で原状回復も行いますが、これは入居者である社員が個人で行う場合もあります。
入居時に支払われた敷金に関しては、返金をしなければならない場合、もしくは追加で請求をしなければならない場合などがあります。
これら入居までの日程に関してはすべて会社にて記録化をしておく必要があります。ただし借り上げ社宅の場合にはこれらの業務を管理会社に委託することが多いようです。
7.物件の安全性・資産価値の管理
社有社宅の場合はその社宅の物件としての安全性や資産価値の維持などの業務を自社にて行う必要もあります。
特に耐震性やアスベストなどに関しては会社としてのコンプライアンスに関わる重大な事項となりますので優先的に厳密なチェックを行う必要があります。
その他日常的メンテナンスや修繕などを行うことによりその物件の価値を維持したり場合によっては高めたりすることも重要です。社有社宅は会社としての資産であると同時に、経営にも影響を及ぼします。
一方で借り上げ社宅の場合は、こういった業務を必要としない場合もあります。
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社宅を自社管理する場合の注意点
1.規定・約款の策定
社宅の管理規定・利用規定等を、自社で策定する必要があります。トラブル等が発生した際が規約がルールの目安になるので、慎重に策定しなければなりません。これらの規定はいくつもの項目を設定しなければならないため手間がかかりますが、管理のみならず社宅を利用する社員の健全な生活のためにも、細かく決めておくことが重要です。禁止事項や通知義務等、決めておかなければならないことは複数あります。もし規定の内容を大雑把なものにしてしまった場合は、トラブルが起きた際の対処が難しくなるでしょう。
2.入居希望者との対応
社宅への入居希望者がいないのかを確認したり、入居希望者へ対応したりなど、これらを自社で行わなければなりません。せっかく社宅を用意しても入居希望者がいなければコストを浪費することになるので、入居希望者を募るために社宅の存在をアピールする点から始めます。入居希望者がいたら、対応も行わなければなりません。入居希望者が同じタイミングで複数人集まればある程度作業も簡素化できるでしょう。もし異なるタイミングで入居希望者が現れた場合は、その都度一から対応しなければなりません。
3.トラブルが起きた際の対処
社宅では、騒音や人間関係などのトラブルが起きる可能性もあります。その際の対処もまた、自社で行わなければなりません。人間関係だけでなく、事件・事故などについても気を付ける必要があります。自社で管理している以上は、まず自社で対応しなければいけません。もしも対処方法が入居者の満足を得られない場合、退去されてしまうのみならず退社されてしまう可能性もあるので、慎重な対応が大切です。そのうえで、同じようなトラブルが起こらないように対策を立てる必要があります。特に敷金や礼金に関してはトラブルが起こりやすいうえ、社員相手なのである程度の柔軟性も求められるでしょう。
4.人員の確保の問題
社宅管理を自社で行う場合、社宅管理業務の人員を確保しなければなりません。人手が少ない会社の場合、社宅専門管理のみを行わせるほどの余裕がなければ、日常的な業務と並行して社宅業務を行ってもらうことになります。担当者の負担が増えるだけではなく、いわば「本業」に支障をきたすことにもなりかねません。かといって社宅専門として人を雇うとなれば人件費だけではなく、雇用のための求人等での費用も掛かるのが懸念されます。人手不足の昨今、新たな人員を確保することも簡単ではありません。もし自社管理をする場合はどのように管理をするのか、社宅管理の開始前に策定しておきましょう。
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社宅管理を代行するメリット
ここまで見てきた通り、自社にて社宅を管理する際には必要となる業務が多々存在します。
これらの業務を会社の側で行うことはコスト的にも労務的にも少なくない負担となるケースが少なくありません。
そのため借り上げ社宅・社有社宅を問わず、社宅の管理に関しては、専門の代行サービスに業務を委託する場合も多くあります。
社宅管理代行サービスでは専門的知識を持ったスタッフが業務を担当するためミスなどが起こりにくく、特にトラブルが発生しやすいとされる敷金や礼金などに関してもスムーズに管理を行うことが可能。
特に社宅の契約更新時期などは会社にとっても特に業務の忙しい繁忙期であることが多く、現実的にさまざまな手続きなどを行うことが難しいためこういったサービスの利用が推奨されます。
近年ではオンライン上でのサービスを提供している業者も増えてきており、さらにその利便性は高まりつつあると言えるでしょう。