マイナンバー制度の影響
管理が難しいマイナンバー制度が、社宅管理にどんな影響を与えるでしょうか。マイナンバーと社宅代行サービスの関係について解説しています。
マイナンバー制度で変わる社宅管理業務
マイナンバー制度が2016年1月からスタートしました。マイナンバー制度とは、住民票を持つ個人に対して一人ひとつずつ12桁の番号(マイナンバー)が割り振られる制度のことを言います。
この番号は原則的に一生変わることはなく、社会保障や保険、税金関連の書類などで情報を効率よく管理するために利用されます。
社宅とマイナンバーは結びつかないように思うかもしれませんが、実はこの制度の導入で、社宅管理業務の負担が大幅に増えることが考えられているのです。
なぜなら、年間の家賃支払額が15万円を超える場合には、税務署に不動産の使用料などの支払調書を提出することが義務付けられているのですが、そこに貸主のマイナンバーを記載する必要があるからです。
ということは、借り上げ社宅で貸主が個人の場合は、大家さんにマイナンバーの提出を求めなければならないということになります。
従業員からマイナンバーを集めるのはそれほど難しくはないですが、高齢者が多いと予想される大家さんから番号を聞き出すのは容易ではありません。特に全国に数多く社宅を持っている企業は大変です。
またマイナンバーは極めて重要な個人情報になるため、企業としてセキュリティー体制を強化することが必要になります。社内の情報管理システムの見直しや、情報漏洩防止策を検討してリスク回避することは必須です。
業務負担軽減のための社宅代行サービス活用
マイナンバー制度による業務負担増の問題を解決する方法としては、マイナンバー管理の専門業者に委託するということが考えられます。
こうした業者では、マイナンバーの収集から保管・破棄、安全管理まで一括して行ってくれます。しかし、サービス利用料も相当にかかるため、全社的な検討課題として考える必要があります。ましてや、社宅管理業務における負担軽減のためだけに、マイナンバー管理を委託するとなると、コストメリットも期待しづらいかもしれません。
社宅管理業務という点に絞って考えれば、社宅代行サービスの活用が現実的な有効手段となります。社宅代行業者の中にはマイナンバー管理専門会社と同様の管理システムを持つところもあり、多くの場合、転貸方式による対応をしています。
この方式では、社宅代行業者が社宅物件を借り上げてから会社に転貸することになりますので、貸主は個人の大家さんではなく社宅代行業者になります。
契約先が法人の場合は支払調書を作成する必要がなくなるので、マイナンバー収集・管理という業務も発生しなくなるというわけです。