社宅と住宅手当の違い
福利厚生制度としてよく挙げられる「社宅」と「住宅手当」。社宅は会社が契約した住宅や物件を従業員に提供する制度であり、住宅手当は従業員個人が契約した住宅・物件の賃料について一部を補助する仕組みとなっています。
社宅とは?
社宅には2種類あり、会社が所有している住宅・物件の場合には「社有社宅」といいます。これはいわゆる「社員寮」と同義であり、会社としては初期投資や維持費などのコストがかかるスタイルです。もう1種類は「借り上げ社宅」であり、一般の賃貸物件・住宅を会社が借り上げ、従業員を入居させるスタイルです。これはコスト面で効率的であることに加え、従業員が規定範囲内で自由に物件を探せるというメリットもあります。この社宅制度はいずれも「現物給与」として所得税や社会保険料などの対象になりますが、従業員が一定の賃料を負担することで課税対象とはなりません。
住宅手当とは?
住宅手当は家賃の一部に充当すべく支給する「手当」ですので、給与所得に含まれます。給与所得に含まれるということはもちろん所得税や住民税、社会保険料の課税対象となりますので、社宅制度を利用する方が従業員の経済的負担が軽くなる可能性があります。
「社宅制度」と「住宅手当」で手取りが変わる
それでは社宅と住宅手当でどの程度手取りが変わるのでしょうか。7万円の賃料のうち4万円を会社が負担するものと仮定したうえで、社宅をパターンA、住宅手当をパターンBとして紹介します。なお、控除はマイナス(▲)で表します。
<パターンA>
- 基本給:150,000円
- 社宅家賃:▲30,000円
- 社会保険料:▲22,455円
- 所得税:▲2,150円
- 差引手取:95,395円
<パターンB>
- 基本給:150,000円
- 住宅手当:40,000円
- 社会保険料:▲28,443円
- 所得税:▲3,410円
- 家賃:▲70,000円
- 差引手取:88,147円
社宅と住宅手当はどちらがお得?
このように、「7万円の家賃のうち、4万円は会社が負担する」という前提を揃えたとしても、所得税や社会保険料の影響により手取りに差が出てしまいます。社会保険料は企業と従業員が半分ずつ保険料を負担していますので、従業員が支払う社会保険料が減るということは会社の支払う社会保険料も減るということになり、双方に経済的メリットが生まれます。どの制度を使えばどのようにメリットが得られるのかを、多角的に検討して進めて行きましょう。