社宅と寄宿舎の違いとは
社宅と寄宿舎は異なる施設です。ここでは、両者の違いを解説しています。
寄宿舎とは
寄宿舎は、世帯を構成しない複数人が共同生活を送る宿舎です。原則として、玄関、台所、便所、浴室などは共用で、寝室のみ個室になっています。寄宿舎の代表例としてあげられるのが上記の条件を満たす学生寮です。
寄宿舎については、労働基準法でも定められています。労働基準法で定める寄宿舎に該当する場合、使用者は起床・就寝・外出及び外泊に関する事項などについて、寄宿舎規則を作成し行政官庁へ届出なければなりません。ここでいう寄宿舎は、次の要件を満たすものです。
- 相当人数の労働者が宿泊している
- その場所が独立または区画させた施設である
- 共同生活の実態を備えている
加えて、当該施設が事業に附属していることも求められます。複数の労働者が入居していれば、寄宿舎と認められるわけではありません。たとえば、社宅のように労働者が独立した生活を送れる施設は寄宿舎に含まれません。また、労働基準法で、寄宿する労働者の私生活の自由を侵害してはならないなどの定めがある点にも注意が必要です。
社宅と寄宿舎の違い
事業に付随している
寄宿舎は、事業に付随していることを求められます。この判断は、以下の点を加味して総合的に判断されます(詳しくは、労働基準局でご確認ください)。
- 事業場敷地内またはその付近に当該施設がある
- 労務管理上共同生活が要請されている
複数人が当該施設で生活を送っていても、事業の経営と関わりがない場合は労働基準法上の寄宿舎とはいえない可能性が高いでしょう。また、事業場附属寄宿舎には「屋外に通じる出入り口の戸は、外開きまたは引き戸とすること」など細かな規定もあります。社宅にこのような規定はありません。
規則などに基づき共同生活を送っている
寄宿舎は、入居している労働者が共同で利用する台所、便所、浴室などを備えている必要があります。さらに入居している労働者が、一定のルールに基づき起居寝食などを行っていることも求められます。したがって、1人ひとりの労働者が独立した生活を送れる社宅、1人ひとりの労働者に個室が設けられている社宅などは寄宿舎に含まれません。
社宅と寄宿舎の違いを押さえよう!
寄宿舎は、相当人数の労働者が宿泊している、共同生活の実態を備えている、事業に付随しているなどの条件を満たす施設です。社宅とは、さまざまな点で違いがあります。寄宿舎に該当する場合は、寄宿舎規則の作成、届出などを求められます。使用者は、両者の違いを理解しておかなければなりません。社宅や社宅代行サービスについて理解を深めたい方は、以下の記事も参考にしてください。