社宅はインボイス制度の対象になる?注意するべき点とは
インボイスは、社宅にも関わってくる可能性のある制度です。ここでは、社宅におけるインボイスの注意点を解説します。
インボイス制度とは?わかりやすく解説
インボイスは、仕入れや経費における消費税額控除を受ける際、新たに適格請求書が必要となる制度です。主に請求書に変更が加えられ、適格請求書発行事業者の登録番号や、消費税の内訳の記載が必要になります。消費税が発生する取引の多くが制約を受けるため、会計・経理部門に影響が及ぶ可能性があります。
これまでは、特に制約なく経費などの消費税も計上できました。しかし、インボイス開始後は取引先が適格請求書発行事業者に登録していないと、消費税を計上できなくなるおそれがあります。消費税を全額計上するには、取引先が適格請求書発行事業者に登録し、かつ規定に沿った請求書を発行してもらうことが必要です。
社宅はインボイス制度の対象になるのか
さまざまな取引に影響が及ぶインボイスですが、社宅に関してはほぼ影響がないと考えておきましょう。
インボイスは、消費税を伴う取引に大きく影響する制度です。しかし、住宅の賃貸は消費税が非課税の取引であり、賃料に消費税は含まれていません。社宅も住宅の賃貸取引に該当するため、賃料に消費税は課税されません。そのため、社宅は基本的にインボイスの対象外です。
従業員の給与から賃料を控除する場合でも、消費税のことを考える必要はありません。従業員から受け取る賃料は、会計上非課税売上として処理することになります。賃料の取り扱いについては、インボイスが開始された後でも、これまでと同様で問題ないといえます。
駐車場を経営している場合は注意が必要
社宅の賃料はインボイスの対象外ですが、駐車場を借りている、または経営している場合は気を付けましょう。駐車場を経営しており、かつ課税事業者に当てはまる時はインボイスの対象になります。
社宅の賃料は消費税が非課税である一方、駐車場の料金は消費税の課税対象です。従業員が駐車場を有料で借りていた場合、駐車場の消費税を控除するには、インボイスのルールに従わなくてはいけません。駐車場のオーナーである場合、適格請求書事業者に登録していないと、消費税を全額控除できないので注意しましょう。
不動産取引は消費税の課税・非課税が混在しています。社宅の賃料と駐車場の賃料は分けて考えましょう。
駐車場を経営していた場合の対応は?
駐車場料金の消費税を控除したいなら、オーナーに適格請求書を発行してもらう必要があります。仮にオーナーが免税事業者か、適格請求書事業者に登録していない場合、借主はその分消費税を多く負担することになります。全額控除したい時は、オーナーが適格請求書事業者に登録しているかどうか、しっかり確認しておきましょう。
もし適格請求書事業者に未登録だった場合、オーナーに手続きするよう求めることをおすすめします。少々時間はかかりますが、適格請求書事業者登録後は駐車場にかかる消費税が全額控除できます。
反対に断られた時は、他の駐車場を探すのも手でしょう。適格請求書を発行してもらえない限り、消費税は借主が負担することになります。契約更新に合わせ、近隣の駐車場を探してみるとよいでしょう。
課税事業者とは
インボイスの対象取引の消費税を控除するには、駐車場オーナーが課税事業者になる必要があります。課税事業者は、消費税の課税対象となる事業者をいいます。条件は、一定期間の課税売上が1,000万円を超える事業者や、資本金が1,000万円を超える事業者などが該当します。課税事業者は、所定の方法で消費税を納める必要があります。
一方、消費税を納めずに済む事業者を免税事業者といいます。売上が1,000万円以下の事業者の多くは免税事業者ですが、届け出を提出して課税事業者になることもできます。
インボイスは課税事業者が制度の対象です。制度に対応させるため、免税事業者が課税事業者になるパターンも見られます。