新卒入社の引越し費用は会社負担?
当ページでは、新卒入社する従業員の引越し費用の負担区分について解説しています。また、従業員の引越しに関連し、住宅手当や社宅制度などの概要や税金の取り扱いなどについてもご紹介しています。
新卒入社の従業員の引越し費用について、労働法などにおける規定があるわけではありません。基本的には会社規定に沿って支給される、または支給されない形となります。
新卒入社に伴う引越し費用の負担区分について
新卒入社に伴い、新卒者が引越しすることとなった場合の費用負担区分について、法令上の決まりがあるわけではありません。会社規定に従った扱いとなりますが、昨今、多くの会社では当該引越しが「自己都合」となるか、または「会社都合」となるかにより、費用負担区分を分ける傾向があります。
ここにいう自己都合とは、たとえば「自宅から通勤できるものの、より楽に通勤するため会社の近くに引越す」という例など。かならずしも引越さなくても良いところ、本人の判断で引越す場合を自己都合とします。
一方で会社都合とは、たとえば「自宅からの通勤が難しい配属先としたため、引越しが必要となった」という例など。会社命令が理由で引越しを余儀なくされた場合を会社都合とします。
会社負担となる引越し費用の範囲は?
引越し費用が会社負担となる場合であっても、引越しに関連して発生した費用の全額を会社が負担する決まりはありません。負担の範囲は就業規則で明確に定めておきましょう。
一般的に、引越し会社の利用料金は会社が負担します。ただし、荷物の量などによって引越し費用は異なるため、一定の上限額を設けておく必要はあるでしょう。上限額の設定により、就業に不要な私物を大量にトラックへ乗せるなどのモラルハザードを防止する効果があります。
本人の希望で大量の私物を運搬したい場合やピアノ・バイクなどの特殊な運搬が必要となる場合、もし会社負担の上限額を超えれば、超えた分については本人の自己負担とすることが一般的です。
新卒入社する従業員をサポートする福利厚生
引越しに伴って発生する費用は、引越し業者に支払う輸送費だけではありません。福利厚生の一部として、引越しに伴うその他の費用の一部を会社負担とする例も多く見られます。たとえば住宅手当支給や社宅の用意などです。
住宅手当
住宅手当とは、従業員の住宅維持に伴って発生する費用の一部を会社が負担する福利厚生制度のこと。賃貸住宅の家賃を一部、または持ち家の住宅ローンの一部を会社が毎月一定額補助する制度です。
仮に賃貸住宅を契約する場合、従業員は自由に賃貸住宅を探せますが、通常は手当額を定額とするため、従業員が家賃の高い物件を契約したとしても会社負担が増えるわけではありません。
なお、住宅手当は所得税の課税対象です。誤りのないよう給与計算を行いましょう。
社宅制度
社宅制度とは、会社が所有する集合住宅や会社が借り上げた賃貸住宅を、安い利用料で従業員へ提供する福利厚生制度のこと。給与から利用料を天引きする形で従業員に社宅を利用させます。
一般的な賃貸住宅とは異なり、入居者の管理は会社が行わなければなりません。管理の手間やコストを課題としている会社も多いようです。
なお、社宅の利用料として従業員が賃貸相当額の50%以上を負担している場合、100%との差額は非課税となります。たとえば賃貸相当額が10万円の社宅に従業員が6万円の自己負担で入居している場合、差額の4万円に相当する所得税や住民税が加算されることはありません。
社宅をお持ちの企業様は管理運営サポート代行も検討を
新卒入社の引越し費用については、引越しの理由が従業員の自己都合なら、一般的に会社負担はありません。逆に、引越しの理由が会社都合なら、上限額を設定した上で会社が引越し費用を負担することが一般的です。
引越し費用のほかにも、新卒社員の引越しに関連する福利厚生として、住宅手当や社宅を用意している会社もあります。
なお、もし御社がすでに社宅をお持ちならばご存じと思いますが、社宅の管理運営には少なからぬ手間がかかります。限られた経営資源をコア業務へ集中させるため、社宅の管理運営をサポートしている代行業者の利用も検討してみましょう。