借り上げ社宅の支払調書
借り上げ社宅では報酬を受け取った側が「支払調書」を作成しなければなりません。税務署に提出する重要な調書である支払調書ですが、その作成方法にはいくつかの決まりがあります。借り上げ社宅の支払調書について、注意点を見ていきましょう。
支払調書とは?
支払調書とは個人事業主や法人への提出が義務付けられている調書のひとつで、確定申告の際に必要となります。支払調書は報酬を支払った側に対して提出義務が課され、税務署が報酬を支払われた側が適切に収入を申告しているか確認するために必要となる調書です。
社宅などの不動産における使用料への支払い調書は、支払いの合計額が15万円超の場合にのみ提出の対象とされます。
借り上げ社宅の支払調書に関する注意点
対象の1年間の使用料について提出する
借り上げ社宅の支払調書の提出は、対象の1年間の使用料について提出されるものです。1月1日から12月31日までの支払い分を、翌年の1月31日までに提出しましょう。提出先は各法人の住所を所轄する税務署です。もし翌1月31日までに提出されない場合、懲役や罰金などのペナルティが課されることもあります。
対象となる使用料は相手により異なる
借り上げ社宅の支払調書に記載される使用料は、相手により異なることに注意してください。貸主が個人事業主である場合は、15万円を超過した地代・家賃などの借賃料が対象となります。しかし貸主が法人であるなら、15万円を超過した権利金・礼金・更新料などのみが対象となるため、貸主が法人の場合は、基本的に支払調書を提出する必要はなくなるはずです。法人への支払調書を作成する際には、借賃料は含めずに計算をしましょう。
マイナンバーの記載が必要
支払調書へのマイナンバー記載は、国税通則法や所得税法などの法律で義務付けられています。マイナンバーを記載することで、税務署が個人の収入情報を詳細かつタイムリーに把握できるようになり、税金の徴収漏れを防止するためです。また、所得隠しや脱税を防止するための重要な仕組みでもあります。
マイナンバーを記載してもらえないとき
マイナンバーを記載してもらえないときは、法律で定められた義務であることを丁寧に説明し、提供を依頼しましょう。それでも個人番号の提供を拒否されることがあります。相手方にはマイナンバーの情報を提供する義務はなく、拒否された場合に提供を強制する権限や罰則等は設けられていません。
国税庁では、マイナンバーの提出を拒否された場合に、「提供を求めた経過」を記録しておくことを推奨しています。記録しておくと良い内容は、「いつ提供を求め、その結果として提供を受けられなかった事実」が分かるやり取りです。
参照元:国税庁「法定調書に関するFAQ」( https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/houteichosho_qa.htm )
マイナンバーを収集する際に気をつけること
丁寧な説明
マイナンバーは社会保険や銀行預金口座にまで紐づく可能性がある重要な個人情報です。むやみに人に知られたくないと考えている人は少なくありません。マイナンバーを収集する際には、丁寧な説明を行うことが非常に重要です。マイナンバーの収集が法律に基づく義務であることを明確に伝えると同時に、「支払調書の作成のために必要であること」など収集目的を具体的に説明しましょう。
また、マイナンバーをどのように安全に管理して、不正利用を防ぐかについても説明し、相手方の不安を解消することが大切です。不信感や誤解がないようにきちんと説明を行う必要があります。
情報漏洩対策
重要な個人情報を扱うため、漏洩を防ぐセキュリティ対策と適切な管理が必要です。保管時には、アクセス制限を設け、担当者以外がデータに触れられないようにすることが望ましいです。また、マイナンバーを取り扱うエリアを限定するなど、物理的な管理を行いましょう。
収集したマイナンバーは必要な期間のみ保管し、用済みとなった場合は速やかに適切な方法で破棄・抹消してください。電子データの場合は完全削除ソフトの利用やデータの上書き、紙媒体の場合はシュレッダーや焼却処分などで確実に処理します。
マイナンバーの取り扱いは特に注意
借り上げ社宅での支払調書作成で重要となるのは、マイナンバーの取り扱いです。前述のとおり、マイナンバーを教えたくない相手がいることは、それだけ重要な個人情報であることを意味します。
マイナンバーの取り扱いや支払い調書の作成といった業務負担増の問題を解決する方法として、専門業者に委託する方法もあります。下記のページでは、おすすめの社宅管理代行会社を紹介していますので参考にしてみてください。