社宅における水道光熱費の取扱い
社員の住まいである社宅では、月々の水道光熱費を各自の支払いとするケースと、会社持ちにするケースがあります。ここでは2つの取扱い方法について紹介します。
社宅の水道光熱費を会社が支払う場合
水道光熱費を会社が支払うケースとは、国税庁の所得税基本通達「給与等に係る経済的利益」の26にみられる「寄宿舎」のケースが想定されています。
社宅といっても独身寮かつ寄宿舎のような形態であり、以下の2点を満たす場合は経済的利益が受けられていないものとして非課税扱いになります。
- 水道光熱費の金額が一般的な使用料であること
- 従業員ごとの利用額が計算できないこと
浴室・トイレ・キッチンが共用設備になっている社宅では、入居者ごとの使用量を把握することができません。このようなケースでは一律で会社が負担し、非課税扱いとすることが可能です。
会計処理については、福利厚生費として処理することができます。給与扱いにはならないため、所得税は課されません。
社宅の水道光熱費を従業員が支払う場合
一般的な社宅で会社側が水道光熱費を負担すると、経済的利益を従業員自身が受けていると判断されるため給与扱いになります。
会社の社宅であっても、入居者にかかった水道光熱費は原則として従業員が負担すべきものとされています。従業員自身で負担するケースは一般的であり、使用量ごとに料金が適用されます。
水道光熱費の取扱いに関する注意点
社宅の形態として入居者ごとの水道光熱費が把握できる場合でも、会社が負担すること自体に問題はありません。ただしその場合は従業員が利益を受けているものとして、課税の対象となります。
社宅における水道光熱費の取扱いについては、一部例外となるケースもあります。「職務の遂行上やむを得ない場合」として、会社から指定された場所に従業員が居住するときには、居住にかかった費用は非課税扱いとなります。
(非課税所得) 第九条:次に掲げる所得については、所得税を課さない。 六 給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外のもの(経済的な利益を含む。)でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの
所得税基本通達9-9では、ホテルや旅館に住み込みの従業員・工場の宿舎や事業所構内に住み込む労働者・鉱山の掘採場に勤務する従業員・守衛・季節的労働者・船舶乗組員・病院に宿直する看護師のケースが例として挙げられています。
住み込みで働いている従業員については、やむを得ず貸与を受けて指定の場所に居住しています。そのため、直接的な利益を得ているとは考えられず、勤務体系の維持に従事しているととらえられます。
社内や事業所内の宿直室なども含め、特定の場所に仕事のために居住しなければならない場合は、給与課税扱いにはなりません。