福利厚生としての社宅
社宅に住んでいる従業員は、様々な福利厚生を受けられます。ここでは社宅に関連する代表的な福利厚生として、住宅手当、家賃補助、社員寮、持ち家補助、借り上げ社宅の5つをまとめて紹介します。
住宅手当
企業の福利厚生として真っ先にイメージしやすいのが、住宅手当ではないでしょうか。
住宅手当は、社員の住宅費の補填を目的として支給される手当で、支給するかどうかは各企業の自由となっています。
住宅手当の大きな特徴は、支給金額は家族手当や通勤手当などの諸手当と同様に給与の一部に含まれているため、所得税や住民税、社会保険税の課税対象になることです。つまり、住宅手当を貰えばもらうほど収めなければならない税金が大きくなるため、税金という観点からみると実は従業者にとってお得ではないということがわかります。
しかし、決められた社宅や社員寮に住むのではなく、自分の好きな住まいを自由に選んで住めるというメリットが住宅手当にはあるため、給与の一部として支給されるとしても住宅手当をありがたく思う従業員がいることも事実です。
家賃補助
住宅手当と非常によく似た用語に、家賃補助があります。
どちらも従業員の家賃を補填するために支給されるものという意味では同じですが、住宅手当と家賃補助には大きく違う点があります。
住宅手当は、上述の通り給与の一部として支給されます。従って、従業員にとっては所得税や住民税などの税金の課税対象となり、会社にとっても社会保険料の算定に影響するため、税金という観点から見れば従業員にとっても会社にとってもお得ではない手当と言えます。
一方で家賃補助は、住宅を会社名義で契約していること、家賃の50%以上を従業員本人が負担していること等の諸条件を満たしていれば、福利厚生費という項目で経費として計上することができます。
経費として計上すれば、所得税や社会保険料には影響がないため、従業員と会社の双方にメリットがあると言えます。
社員寮
住まいに関する福利厚生の代表例として、社員寮が挙げられます。
社員寮と社宅は非常によく似ており、実は法律上でも明確には区分されていませんが、一般的に社員寮は単身者向けの社有住宅で、共用の浴場やトイレ、食堂などの施設を備えていることがほとんどです。
従業員にとって社員寮にするメリットは、その家賃の安さです。一般底に社員寮は、住居費の大半を企業側が負担し、場合によっては全額を負担している企業もあります。結果的に、入居者は周辺地域の家賃相場と比較して極めて安価に住むことができます。
生活に必要な家具家電はあらかじめ備え付いてあることがほとんどで、ガス代や電気代、水道代などの光熱費は家賃に含まれていることが多いため、面倒な手続きなどをしなくて済むことも従業員にとっては大きなメリットです。
持ち家援助
持ち家援助とは、従業員の生活レベルの安定と向上を目的とした福利厚生制度で、社宅入居者の流動化や社宅管理費用の適正化などにも効果的とされています。
入社後に社宅あるいは社員寮に入居した従業員が、結婚や出産などのライフイベントを経験することを想定して、持ち家取得による社宅退去や、社宅入居期間中の財産形成を促します。
具体的な援助方法としては、従業員が持ち家を取得するにあたって必要な資金を会社側が貸し付ける住宅ローン融資などが挙げられます。
借り上げ社宅
住宅手当や社員寮、持ち家援助などと同様に、住まいに関する代表的な福利厚生に借り上げ住宅があります。
住宅手当が給与の一部として支給され、従業員の所得税や住民税の課税対象となるのに対して、借り上げ社宅は従業員の納税額や会社側の社会保険料負担額などに影響を及ぼしません。
家賃にかかる支出を低く抑えられるというメリットは住宅手当も借り上げ社宅も共通しているため、税金や社会保険にかかる影響がない分だけ借り上げ社宅の方がお得と言えます。
借り上げ社宅のデメリットとしては、従業員にとっては済む場所や部屋を選べないこと、会社にとっては入退去手続きや日々のメンテナンスなど住宅管理の負担がかかることが挙げられます。このようなデメリットを解消するために、社宅管理代行サービスを導入する企業も少なくありません。