社宅の入居率が低い原因と対策
入居率が低いと、従業員が社宅から出る、または仕事を辞めてしまうこともありえます。敷金、礼金、火災保険、手続き費用、手数料など会社負担です。従業員が辞めれば初期費用を償却できません。そうならないよう、入居率が低い原因や対策を解説します。
社宅入居率が低くなる原因は?
勤務先との距離の問題
勤務先と距離が遠ければ、積極的に入居しないものです。逆に近過ぎるのも、避けられる原因になります。首都圏に社宅を建てるとなれば建築コストは大きな負担です。多くは通勤に1時間程度のところに建てます。電車、自動車でも通勤ラッシュは負担にしかなりません。社宅ではなく勤務先の近くに賃貸を借りる人も出てきます。
勤務先の敷地内やすぐ隣に社宅を設置しても問題です。仕事とプライベートをきっちり分けたい方にとってはイヤでしょう。休みまで上司や同僚と顔を合わせるのはイヤという方もいます。
社宅は勤務先から近すぎても遠すぎても敬遠されるのです。入居したいという方がいないと、入居率が低くなるのも当然でしょう。従業員の気持ちや事情を考えた上で社宅の場所は慎重に決めたほうが無難です。
ペットの飼育ができない
ペット可の賃貸物件が増えているのに、社宅では飼えないとなれば不満が生まれる方もいます。社宅や社員寮はペット不可物件も多いです。ペットと住居を天秤にかけたとき、ペットを優先させる方も中にはいます。
ただ、借り上げ社宅制度を運用する会社の中には、ペット可にしているところもあるのです。動物好きな方にとって、ペットはただの動物ではなく家族の一員と認識しています。ペットをどうしても飼いたい方なら、原状回復費は社員持ちとすると社宅を選ぶ方も出てくるでしょう。
築年数の古さ
築年数が古いと、設備に不安や不満も出ます。壁が薄くて隣の生活音が聞こえたり、設備が一昔前のものだったりすれば好んで住みたいとは思わないでしょう。古いエアコンであまり効かなければ、夏は暑く、冬は寒い思いをしなければなりません。
一般的なアパートやマンションなら違います。メンテナンスなリフォームをして人が住みたくなるような状態にするものです。自社管理の社宅だと、手入れもおざなりになって不具合が生じている場合もあります。住めればよいというわけではなく、快適な生活をみんなが望んでいる時代なのです。
プライベートな時間を保ちにくい
社宅規定で、友達や恋人を呼んではいけない、門限を決めているとなれば自由度は著しく低下します。普通の賃貸物件ならわずらわしい規則に振り回されません。自由がないなら、少々家賃が高くなっても一般の賃貸物件に住むという方も出るのは当然です。
また、社宅には同僚や先輩や上司が住んでいるケースもあります。仕事とプライバシーを分けたい方にとっては窮屈でしかないのです。人間関係を築ける反面、自分のプライバシーが保てないことに不満を持つのは仕方ないことでしょう。
社宅規定の見直しで入居率の改善は図れる?
社内規定の見直しをする価値はあります。例えば、地域ごとに家賃上限を決めた規定があると問題が生じる場合があるのです。ある地域では、築10年の比較的新しい物件でも規定にひっかからなかったのに、別の地域だと、築30年以上の物件しか見つからないというケースもあります。
関東圏、関西圏の都市部より地方のほうが家賃は安くなるだろうから、新しくて広い物件は多いはずと考えがちです。ただ、特定の都市だけ賃料相場が高い場合もあります。通常は、賃料相場が高い東京を基準に規定を作成するものです。
実は地方でも東京より高い家賃相場のところはあります。とくに数十年前に作成した規定だと時代の変化で状況が変わっているケースがあるのにアップデートできていないままです。そのため、社内規定を検討し直せば、入居率が高まる可能性はあります。
社員が居心地よく過ごせる社宅とは
入居率を高めるなら、社員が「居心地がいい」と心から思える環境作りが大切なのです。社宅のメリットは、密な人間関係を作れる点でしょう。他の社員とコミュニケーションをたくさん取れます。また、食事も出してくれるため、健康管理を自分でしなくて済むのです。
社宅の中にはラウンジやゲームコーナー、読書スペースなどを設けている会社もあります。気軽にみんなが集まることができる場所です。部門や部署は関係なく、自然に交流が生まれます。
社宅では食事予約ができ、健康状態に合わせた推奨メニューを予約ができるところもあるのです。健康について意識が高い方なら便利でしょう。食事管理をすべてやってくれるわけですから、居心地がよいと感じます。社員は社宅になにを望んでいるのか?その点を突き詰めて改善すれば入居率を高めることも可能でしょう。