社宅運用にありがちなミスと対策
会社の福利厚生として社宅は従業員に非常に魅力的なものでしょう。ただし管理が複雑なので、見落としなどのミスが起きてしまうことも…。リスク回避のために社宅管理の適切な知識と対策が大切です。ここでは、社宅運用にありがちなミスと回避するための対策について解説します。
社宅運用でよくあるミス
契約書・手続きでのミス
社宅運用において多いのが契約書や手続きのミスです。中でも契約更新と入居者変更は注意しましょう。
契約更新
契約はそれに定められている期間ごとに更新の手続きが必要ですが、年明けから年度末にかけての繁忙期に更新希望の連絡を忘れたり、手続きが遅れたりして期日を過ぎるケースがあります。
万が一更新の手続きが遅れ必要な更新を行わなかった場合、法定更新が適用されますが、更新の期日には注意しましょう。
手続きが遅れてしまう原因の多くは、期日を忘れてしまうことがほとんどです。カレンダーやリマインダー、契約台帳などを活用して期日を忘れないよう対策しておくことが大切です。
入居者変更
賃貸契約に入居者変更時の通知義務の特約が附帯している場合があります。以下はそのような特約が附帯している場合について説明します。
異動や退職により社宅が空いた場合、別の社員を入居させる際には入居者変更の手続きが必要です。また社員に同居人が増える、同居人が変更になるといった場合にも変更手続が必要となり、貸主に無断で変更を行うと、契約違反とみなされ契約解除になる可能性があります。
入居者には、変更が生じた場合には必ず会社に連絡を入れる必要があることを周知しておきましょう。さらに定期的に契約名義人と実際の入居者の照合を行いましょう。
費用・支払いでのミス
支払いが発生した場合、何の費用なのか、提示された金額をきちんと確認し、会社に不利益が生じないようにすることも大切です。
敷金・礼金
敷金・礼金のうち、敷金は原則的に退去時に返還されます。ただし特約があればクリーニング代と相殺することができます。
また契約書に「ペットを飼うなら敷金(または礼金)+1ヵ月分」などのように、金額が明確に記載されていない場合には後々トラブルになることが考えられます。
ペットや喫煙など、敷金・礼金が積み増しになる条件や敷金返還時の特約の有無は契約前に確認しましょう。敷金・礼金の支払いや条件に不安がある場合には、判明したルールを社員にも共有しておくことが大切です。
原状回復費用
社宅であっても退去時には原状回復費用が発生します。その負担をめぐってトラブルに発展することがあります。例えば、自然損耗は貸主の負担というのは周知の事実ですが、実際には自然損耗と故意や過失による損耗の判別は難しいものです。
借主負担となった場合、判断が不明瞭だと揉める原因となるため、原状回復費用が適正なものであるか確認が必要です。
対策としては、契約前に可能な限り原状回復費用の負担範囲を取り決めておくことです。入居時に物件の状態を写真などで記録しておくと、補修費や清掃費の項目をチェックしやすくなります。
制度・法令対応でのミス
法的な要求への対応が遅れた場合には、不利益が生じるだけでなく企業の信頼が失墜する可能性もあります。対応漏れがないようチェックしましょう。
インボイス制度
社宅の賃貸契約であっても、課税対象の項目があります。そのため登録事業者であれば適切なインボイス発行が必要です。
書式や支払い金額に間違いがあると控除が受けられないこともあるため注意してください。
インボイス制度の知識が必要になるため、最低でも社宅関連の手続担当、経理担当、決裁者はインボイスについて理解しておかなければなりません。
法定調書
社宅は賃料や敷金・礼金などの費用が関わってくるので、「不動産の使用料等の支払調書」の提出が必要です。
記載漏れや期日(例年1月31日)を過ぎるとペナルティが科せられる場合があるため、間違いのないよう進めましょう。提出期限は年末の慌ただしい時期と重なるため、カレンダーやリマインダーなどで管理しましょう。
内容に不安がある場合には税理士に相談することもポイントです。
よくあるミスを把握し必要な対策を
社宅契約で見落とし、忘れやすいミスについてご紹介してきました。起こりやすいミスに応じた対策やチェックの徹底、ルールの明確化などを整備しましょう。
とはいえ、複数の業務を兼務していたり、チェックにまで手が回らないほど忙しいこともあるでしょう。下記のページでは社宅代行会社の選び方について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

