海外家主の物件を契約する際の注意事項
賃貸物件を契約する際、家主が海外在住の場合はどのような違いがあるのでしょうか。海外家主の物件を契約する際に、注意すべきことについて解説します。法人の場合と個人の場合でも違いがあるため、しっかりチェックしましょう。
海外家主とはどういうことか
海外家主とは、海外に居住しているオーナーのことです。海外居住者の定義は、日本に住所を持たないことや、1年以上海外に居住している方を指します。日本の物件を所有する外国人のことも、非居住者となり、海外家主となります。
海外居住者は所得税法上では「非居住者」となり、借りる側がオーナーの代わりに源泉徴収を行う場合があります。
ただし、借主が個人か法人かでも異なるので以下で詳しく説明していきます。
法人が借りる場合は源泉徴収が必要
オーナーが海外居住者であっても、借主が個人であり自分や親族の居住用として借りる場合には、源泉徴収の必要はありません。ただし、個人であっても居住用ではなく、事業や店舗として借りる場合には、源泉徴収の必要があります。
海外家主から社宅などに使用するために企業が借りる際など、借主が法人の場合には借主に納税の義務が生じます。この場合は賃貸の用途は問いませんが、本来納税すべきオーナーに代わり、借主が源泉徴収をして納税をします。
納税額は、借主が支払う賃料から20.42%の源泉税を税務署に納付、残りの79.58%を貸主に支払います。また、家賃のほか礼金、更新料など海外オーナーの収入になる場合も徴収対象になります。
納税義務は法人側にあるため、不納付加算税や延滞税が発生しないよう注意が必要です。
源泉徴収が免除される場合は?
海外家主が以下の2つの条件を満たしている場合は、源泉徴収の免除または軽減を受けることができます。
①源泉徴収免除証明書の交付を受けている場合
海外家主が日本において恒久的施設を有し、事業を行っている場合には、日本に居住していなくても居住者と同等の状況にあるとされています。非居住者、外国法人がそれぞれ要件を満たせば源泉徴収の免除が受けられます。
【非居住者が満たすべき条件】
- 開業届などを提出している
- 納税管理人の届出をしている
- 前年分の確定申告書を提出している
【外国法人が満たすべき条件】
- 外国普通法人となった旨の届出書を提出している
- 会社法または民法の規定による登記をすべき外国法人にあっては、その登記をしている
②日本と非居住者の居住地国の間で、租税条約が結ばれている場合
海外家主が「租税条約に関する届出書」を提出することで、条約に基づいた税の軽減または免除を受けることができます。
届出書は海外家主か、海外家主が指定した納税管理人が、初回の家賃などの支払いを海外家主が受け取る前日までに、借主である法人が管轄税務署に提出します。e-Taxを利用することもできます。
源泉税の納付方法
借主は、毎月10日までに前月分の納税を行う必要があり、納付先は借主の所轄の税務署となります。税務署指定の納付書を用い、所轄の税務署または銀行などの金融機関で納付します。
納付書は、非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書を国税庁HPよりダウンロードできます。納付を遅延したり、怠ったりすると借主が延滞税を支払うことになるため、必ず毎月忘れずに手続を行いましょう。
海外家主の場合は源泉徴収が必要な場合がある
海外家主に物件を借りる際には源泉徴収が必要な場合があることを解説してきました。法人契約など借主が厳選徴収をおこなう必要がある際には、毎月の手続きが発生するため注意しましょう。
下記のページでは海外駐在員の社宅や住宅手当について詳しく解説しています。参考にしてみてください。