借り上げ社宅の法人契約を個人契約に変更できる?
社宅に住んでいる従業員から、入居期間が過ぎた後も住み続けたいといった要望や、個人契約に変更したいという問合せがあった場合、どのように対応すると良いのでしょうか。必要な対応と注意点を解説します。
個人契約に変更するケース
社宅は企業が借主となって賃借した物件ですが、実際に住んでいる社員が何らかの理由で個人契約に変更するケースがあります。
転籍や退職、入居期限(社宅入居定年)、自己都合で社宅を退去しなければならないなどが個人契約に変更するケースに該当します。
社宅は企業が法人契約しているため、そのまま同じ社宅に住み続けたいと希望があった場合には個人契約へ変更する必要があります。
個人契約に名義変更する方法
企業が法人契約している社宅を個人契約に名義変更するには、貸主と法人の契約内容を承継しながら個人で再契約する方法があります。
または貸主と法人の契約を一旦解消し、個人が新規契約をすることもできます。
社宅の名義を個人契約に変更するための手続きの手順は以下の通りです。
- 勤務先の社宅規程を確認
- 賃貸借契約の内容を確認
- 名義変更の可否と、手続に必要な情報を貸主と管理会社に確認
- 個人契約への名義変更手続をする
社宅を完備する企業は、名義変更に関する項目を社宅規程で明確にしておくと、従業員とのトラブルを防ぐことに繋がります。
個人契約変更時にトラブルになりやすいポイント
敷金
勤務先の企業が支払っていた敷金は、一度返却され個人契約の際に新たに納め直すのが一般的です。ただし貸主との合意を前提として、旧契約者となる企業から新契約者となる個人に対し、敷金返還請求権を移譲する場合もあります。
個人契約する場合には、敷金の引継ぎをどのように行うのか貸主や企業に確認しておきましょう。
現状回復
法人契約の解約により、通常は建物の損耗状態を確認して原状回復費用を敷金から差し引いて精算します。
しかし名義変更の場合は居住者がそのまま住み続けるため、室内の状況確認が難しいのが現実です。そのため原則として従来の契約内容を引き継いだまま居住を続け、将来的に退去したあとの精算となります。
この場合、法人契約で社宅として住んでいた期間の原状回復費用も全額個人負担となるのが一般的なので注意が必要です。
礼金
貸主によって異なりますが、個人契約時に礼金が発生することがあります。特に法人契約を解約して新規契約を結ぶ場合、礼金が発生するケースが多いため、事前に借主に確認しておきましょう。
手数料
礼金と同様に、貸主によっては契約時に事務手数料が発生します。礼金+事務手数料が賃料の1カ月分以上となることもあるため、事前に名義変更時にかかる費用を貸主に確認して準備することが大切です。
火災保険や保証会社
社宅が法人名義で火災保険に加入していた場合、新たに個人名義で火災保険に加入する必要があります。
また新規に個人契約を締結する際には、連帯保証人が必要になります。連帯保証人の確保が難しい場合には、保証会社への加入を条件にしているケースもあります。貸主によっては両方を求められるため、何が必要かの確認をしておきましょう。
保証会社への加入には、保証料の支払いが必要となります。
社宅を個人名義に変更するには事前の管理規程が重要
さまざまな理由で社宅を個人契約に変更するケースがあります。その時になってトラブルの元にならないよう、事前に社宅管理規程を作成し定期的に見直しをしましょう。
社宅管理規程の作成や見直し、社宅の管理は社宅代行会社に依頼することができます。
こちらのページではおすすめの社宅管理代行会社を紹介しているので、参考にしてみてください。